醤油 8. オウィンの森
作 外国人 · 2026-08-26
レイプロを過ぎたのは出征5日目だった。
そこで道は二つに分かれた。
一つは真っ直ぐ行った。
もう一つは南に曲がった。
デールバン: 殿下。
エリオン騎士団長デールバンが馬の上で頭を下げた。
デールバン: 真っ直ぐな道を行きましょう。
デールバン: ......
デールバン: あちらはもう一日かかります。
アインスは答えなかった。
懐から紙を取り出した。
地図だった。
赤い線が一本引かれていた。
南に曲がる道だった。
アインス: 南に行きます。
デールバン: 殿下。
アインス: 南に行きます。
デールバンはしばらく何も言わなかった。
デールバン: ......セトンが急いでいます。
アインス: 分かっています。
アインス: 一日で。
アインス: 一日遅れます。
アインスは地図を畳んだ。
アインス: 騎士団長。
デールバン: はい、殿下。
アインス: 私が総司令です。
デールバン: ......はい。
遠征隊は南に曲がった。
ケイラはその会話を後ろで聞いていた。
聞いた後、ベリンの方に行った。
ケイラ: ベリン。
ベリン: はい。
ケイラ: さっきの見たか。
ベリン: 何をですか。
ケイラ: 騎士団長の顔。
ベリンが前を見た。
デールバンが馬の頭を回していた。
ベリン: ......あまり良くなかった。
ケイラ: そうだな。
ケイラが手綱を握った。
ケイラ: でも私たちにはできることがない。
南の道は狭かった。
両側が森で、その間を一台の荷車がやっと通り抜けた。
1000機がその道を通るのに半日かかった。
夜にキャンプ地を設営する時、場所が足りなかった。
だから分けた。
王子と護衛が前に、エリオン本隊が後ろに。
間は五百メートルほどだった。
ケイラ: 団長。
ケイラが尋ねた。
ケイラ: 少し近づいてもいいですか。
デールバン: 場所がありません。
ケイラ: 五百人が一度に集まるのは難しそうです。
ケイラ: 遠くからついてきています。
デールバン: 五百は走ればこの距離です。
デールバンが言った。
デールバン: そしてここはヘネスの中です。
ケイラはその言葉に答えなかった。
夜になった。
森だった。
森では音が妙に響く。
近いものが遠く聞こえ、遠いものが近く聞こえる。
ベリンはそれのせいで眠れなかった。
正確にはそれが原因ではなかった。
目を閉じると崖が見えた。
23日目からそうだった。
今は32日目だった。
夜明けの2時頃に鳥が飛んだ。
ベリンはその音を聞いた。
森で鳥が一斉に飛ぶと、下に何かがあるのだ。
ベリンが起きた。
起き上がると脇腹が痛んだ。
くっつきかけた場所だった。
ベリン: ケイラ。
ケイラはすでに起きていた。
矢が先に来た。
天幕に向かってきた。
ベリンは天幕の中に飛び込んだ。
アインスは寝ていた。
ベリンが彼を押した。
押しながら自分の背中で天幕の壁を防いだ。
二本の矢が布を突き破って入ってきた。
一本は外れた。
一本はベリンの左肩に刺さった。
ベリン: 殿下。
アインス: ......ベリン?
ベリン: 起きてください。
アインス: 何ですか。
ベリン: 起きてください!
ベリンが王子を引きずり出した。
外に人がいた。
黒い服だった。
模様はなかった。
二十人ほどだった。
彼らは音を立てなかった。
それが一番恐ろしかった。
ブロンズストームは五人だった。
王家直属の護衛が十二人いたが、そのうち四人はすでに倒れていた。
ケイラ: 後ろへ!
ケイラが叫んだ。
ケイラ: 殿下、後ろへ!
ベリンはその時、一人を殺した。
二人目も殺した。
三人目が横から来た。
ベリンはそれを見た。
見たが、体がついてこなかった。
左肩に矢が刺さっていた。
ベリンはその腕を上げた。
刀を防いだ。
刀が腕を通り抜けた。
ベリンは最初、それを感じなかった。
ただ、体が一方に傾いた。
'.......'
傾く理由がわからなかった。
重さが変わったからだ。
ベリンは右手で剣を持ち直した。
そして、その者を殺した。
殺した後、王子の前に立った。
ベリン: 殿下。
アインス: ......ベリン。
ベリン: 後ろにいてください。
アインス: ベリン、腕が。
ベリン: 後ろにいてください。
アインスはその時、彼の顔を見た。
ベリンは何の表情もなかった。
痛む人の顔ではなかった。
働く人の顔だった。
ブロンズストームの五人のうち三人がその場で死んだ。
ケイラが王子を担いだのはその次だった。
ケイラ: 殿下、失礼いたします。
アインス: 何を。
ケイラ: 失礼いたします。
ケイラがアインスを背に乗せた。
アインスの脇腹から何かが流れた。
矢だった。
いつ当たったのかは本人もわからなかった。
ケイラ: ベリン!
ケイラが叫んだ。
ケイラ: ベリン、行こう!
ベリンは来なかった。
ベリンは道の真ん中に立っていた。
狭い道だった。
一人で立っていると、一つずつしか来られない。
ケイラ: ベリン!
ベリン: 団長が。
ベリンが言った。
ベリン: 王子が先だとおっしゃいました。
ケイラはその場で三秒立っていた。
そして、走った。
王子を担いで走った。
走りながら後ろは見なかった。
エリオン本隊が到着したのはその後だった。
五百メートルだった。
走ればこの分だと言った。
三十分かかった。
デールバン: 森は暗かった。
デールバンがそう言った。
デールバン: 道が狭くて隊列ができなかった。
ケイラはその言葉を聞いた。
聞きながら、何の返事もしなかった。
返事する言葉がなかったわけではなかった。
証拠がなかったからだ。
黒い服の者たちは十二人が死に、残りは去った。
死体を探した。
何も出てこなかった。
模様もなく、印もなく、手紙もなかった。
ポケットまで空だった。
デールバン: 準備をしていたな。
デールバンが言った。
デールバン: 傭兵だ。
ベリン: 違います。
ベリンだった。
地面に座っていた。
左腕がなかった。
衛生兵が止血をしていた。
デールバン: 何と言ったのか。
ベリンが矢を一本拾った。
右手で拾った。
矢の先には糸が巻かれていた。
ベリン: 巻き方が違います。
"......"
ベリン: 傭兵はこうは巻きません。
デールバン: では、誰がこう巻くのか。
ベリンが矢を下ろした。
ベリン: インダーの近衛です。
野営地が静かになった。
デールバン: 君はどうして知っているのか。
デールバンが尋ねた。
ベリンは答えなかった。
答える必要がなかった。
この場でインダーの近衛と戦った者は彼だけだった。
アインスはその朝、熱が上がった。
脇腹の矢は浅く刺さっていたが、浅いことが問題ではなかった。
何を塗ったのかは分からなかった。
カリン: 殿下。
ケイラが彼を揺さぶった。
ケイラ: 殿下、目をお開きください。
アインスが目を開けた。
アインス: ......ケイラ。
ケイラ: はい、殿下。
アインス: セトン。
ケイラ: ......
アインス: セトンはどうなりますか。
ケイラはその質問に答えられなかった。
アインス: 行かなければなりません。
アインスが言った。
アインス: 4日後に行きます。
カリン: 殿下。
アインス: 私は総司令です。
アインス: ......
アインス: 私が命令を。
アインスはその文を終えられなかった。
デールバンが撤退を命じたのは、その1時間後だった。
規則だった。
総司令が指揮不能なら、最年長が指揮する。
負傷した王族は最短距離で後送する。
誰も反対できなかった。
規則が正しかったからだ。
遠征隊はその日の午後に西に向かった。
1000キガが来た道を進んだ。
ベリンは担架に乗せられて運ばれた。
進みながら東を見た。
森があり、その向こうには何も見えなかった。
晴れた日にはデデン山が見えると言われていた。
その日は曇っていた。
ベリンは左側が軽かった。
しかし、痛むのは左側ではなかった。
東側だった。
同じ時刻、セトンでベドランが城壁に登り西を見ていた。
前書状を送ってから24日目だった。
騎兵なら9日だと言われていた。
西の道には何もなかった。