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ホン・ギルドン伝

作 許筠 · 2026-05-12

元々チャチョンという場所は盗賊たちの巣窟だった。

その日、山塞の中はひときわ騒がしかった。

数百人の盗賊たちが酒を飲みながら、新しい頭を決める問題で騒ぎ立てていたからだ。

ある者は自分が適任だと言い、ある者は他の者を推し上げた。

しかし、簡単に結論は出なかった。

その様子を静かに見守っていたギルドンは心の中で思った。

「自分の才能を発揮する場所もなくさまよった末に、結局こんな場所まで来ることになったのか。」

彼はゆっくりと目を閉じた。

「これもまた天の意思なのだろう。」

ギルドンの眼差しは冷たく沈んだ。

「よし。緑林に身を任せ、男らしい志を広げてみよう。」

決意を固めたギルドンは、すぐに席を立った。

そして、数百人の盗賊たちが集まっている真ん中へと歩み入った。

ざわめいていた声が、一瞬にして静まった。

見慣れない若い男が突然現れたからだ。

ギルドンは少しも臆することなく口を開いた。

「私は京城のホン丞相の家の息子で…」

瞬間、座中がざわめいた。

「人を殺して逃げ、方々をさまよっていたところ、今日、天の意思でここへ来ることになった。」

ギルドンはゆっくりと周囲を見回した。

そして、はっきりと告げた。

「緑林の豪傑たちの頭になるとしたら、どうだろうか?」

瞬間、山塞の中の空気が凍りついた。

しばらくして――

盗賊たちの間から荒々しい嘲笑が噴き出した。

「気でも狂ったのか?」

「どこから転がり込んできた若造が、よくも!」

「我々が数百人もいるのに、頭を自称するとは?」

酒に酔った盗賊たちは、露骨にギルドンを嘲笑った。

一人の男が指をさして叫んだ。

「我々は皆、絶倫の力を持つ者たちだ!」

「それなのに今、二つの大きな問題を前にして解決策が見つからず、頭も決められない状況だというのに――」

彼はギルドンを上から下まで見下ろした。

「お前ごとき若造が、よくもここへ来て大口を叩くか!」

他の者たちも、それに続いて罵声を浴びせた。

「命が惜しければ、今すぐ出て行け!」

結局、数人の盗賊がギルドンらを押し出し、外へ追い出した。

しかし――

ギルドンは少しも怒らなかった。

むしろ、山砦の外へ出た後、静かに大きな木の枝を一本折った。

そして、その上に文字を刻み始めた。

「龍が浅瀬に沈めば魚に侮られ、虎が森を失えば狐と兎に嘲笑される。」

ギルドンの眼差しが冷たく光った。

「やがて風雲を得れば、その輝きは計り知れないだろう。」

しばらくして。

一人の兵士がその文字を見つけ、山砦の中へ持ち帰った。

上座に座っていた男がその文を読み、目つきを変えた。

「待て。」

彼は周りの人々を見回しながら言った。

「あの子供…ただ者ではない。」

「立ち居振る舞いも非凡で、ホン・スンスンの子息という話も尋常ではない。」

彼は低く笑った。

「殺すにせよ生かすにせよ、まずはその才を試してみてはどうだ?」

その言葉に、あちこちで頷く者がいた。

結局、盗賊たちは再びギルドンを呼び戻した。

今度はむやみに追い出さなかった。

上座に近い席に座らせた後、頭領候補の一人が口を開いた。

「今、我々の悩みは二つある。」

彼は指を二本広げた。

「一つ目。」

「あの先にチョブソクという石があるが、重さが千斤もある。この山砦の誰もまともに持ち上げられない。」

そして声を低くした。

「二つ目はもっと大変なことだ。」

「慶尚道ハプチョンの海印寺。」

瞬間、何人かの盗賊の目が光った。

「あの寺には数千人の僧侶がいて、財物が山のように積まれている。」

「だが、人が多すぎて手が出せない。」

彼はギルドンを睨みつけた。

「お前がこの二つをやり遂げれば…」

山塞の中の空気が緊張で沈み込んだ。

「今日からお前を我らの将軍として迎えよう。」

その言葉を聞いたギルドンは、フッと笑った。

「男が世に処するに…」

彼はゆっくりと席から立ち上がった。

「どうしてこの程度のことを恐れましょうか?」

そしてすぐにチョブソクの前へ歩いて行った。

千斤もあるという巨大な石。

盗賊たちさえ近づくのをためらったそれを—

ギルドンは何事もないかのように両腕で持ち上げた。

「……!」

瞬間、山塞の中が静まり返った。

ギルドンは巨大な石を腕に乗せたまま、数十歩歩いた。

息一つ乱れなかった。

そして再び元の場所に石を下ろした。

その時まで、ギルドンの顔には疲れた様子が全くなかった。

盗賊たちの口から同時に感嘆の声が上がった。

「本物の力持ちだ!」

「怪物め!」

「こいつ、ただ者じゃない!」

あっという間に雰囲気が一変した。

少し前まで若造だと嘲笑っていた者たちが、今や酒杯を手にギルドンを称賛した。

「今日から将軍だ!」

「将軍様に酒を献上しろ!」

歓声が山塞を揺るがした。

ギルドンはその騒乱の中でも淡々とした顔だった。

すぐに彼は兵士たちに命令した。

「白馬を連れてこい。」

しばらくして白い馬が一頭引き連れてこられた。

ギルドンはその場で血の誓いを立てた。

そして数百人の盗賊たちに向かって力強く叫んだ。

「今日から我々は生死苦楽を共にする!」

山塞の中が静まり返った。

「もし約束を裏切ったり、軍令を破る者がいれば—」

ギルドンの眼差しが冷たく沈んだ。

「軍法で裁くであろう。」

瞬間、数百人の盗賊たちが一斉にひざまずいた。

「将軍様!」

「命に従います!」

山塞全体が歓声で揺れた。

その日から—

ホン・ギルドンは緑林の真の頭領となった。

数日が過ぎた後。

ギルドンは山砦の兵士たちを全員呼び集めた。

数百人の盗賊たちが息を潜め、新しい頭領を見つめた。

ギルドンは上座に座ったまま静かに言った。

「私が直接ハプチョンの海印寺に行ってこよう。」

瞬間、あちこちでざわめきが起こった。

海印寺。

天下に名高い巨大な寺院だった。

僧侶だけで数千人。

財宝も数えきれないほど多いと噂されていたが—

それだけに警戒も厳重だった。

既存の頭領たちでさえ手を出せなかった場所だった。

しかし、ギルドンの顔には少しの躊躇もなかった。

「全ての計画を定めた後、戻ってこよう。」

その言葉を残したギルドンは、すぐに旅立った。

その日のギルドンの服装は普段と全く違っていた。

絹の服に書童の装い。

良い馬にまで乗った姿は、誰が見ても名門の家の息子だった。

従者数十人まで引き連れて行くので、完全に両班の家の公子の行列だった。

ギルドン一行が海印寺の近くに到着すると、まず人を送って挨拶させた。

「京城のホン丞相宅の御子息が、学業のためにいらっしゃいます。」

その知らせはすぐに寺全体に広まった。

僧侶たちは大いに驚いた。

「ホン丞相の御子息だと?」

「宰相家の御子息が寺に滞在すれば、寺の威勢も高まるだろうに。」

「手厚くもてなさなければならない。」

僧侶たちは急いで寺の外まで出てギルドンを迎えた。

ギルドンは平然とした顔で馬に乗り、寺の中へ入っていった。

誰が見ても高貴な家の若様だった。

そうして法堂の近くに席を陣取った後—

ギルドンは僧侶たちを見回し、優しく微笑んだ。

「聞くところによると、海印寺は天下に名高い寺だそうだな。」

彼はゆったりと茶を飲んだ。

「遠いと言わず直接来たのは、寺を見物し、学業に励むためだ。」

僧侶たちはしきりに頭を下げた。

ギルドンは、まるで何の疑いも抱いていないかのように、自然に言葉を続けた。

「だから、私のせいで不便に思わないでくれ。」

そして、とても平然と付け加えた。

「代わりに、寺の中に滞在している雑人たちは皆追い出せ。」

「……!」

僧侶たちは一瞬緊張した。

しかし、ギルドンは何でもないような顔だった。

「数日滞在する間は、静かに過ごしたいだけだ。」

そう言って、再び言葉を付け加えた。

「また、私がとある村の役人を通じて白米百二十石を送ろう。」

僧侶たちの目が大きく見開かれた。

白米百二十石。

途方もない量だった。

ギルドンは微笑んだ。

「食べ物を十分に用意しておけ。」

「その日は僧俗の区別を捨てて共に楽しみ、その後から勉強を始めよう。」

その言葉を聞いた僧侶たちは、感激した顔でしきりに頭を下げた。

「恐れ入ります!」

「大きな施しを施されようとされますとは、仏様の恩恵でございます!」

しかし—

誰も知らなかった。

ギルドンの口元に浮かんだ微かな笑みが、どのような意味を持つのかを。

その日以来、ギルドンは数日間寺の中を歩き回り、地形を調べた。

法堂の位置。

倉庫の位置。

財物を隠した場所。

僧侶たちの移動経路。

逃走経路まで。

全てを一つ一つ目に焼き付けた。

そして、密かに部下数十人に白米を送らせた。

「とある村の役人が送るものだ。」

そう伝えるだけにした。

僧侶たちは少しも疑わなかった。

むしろギルドンを本当に貴い客だと信じ、手厚くもてなした。

さらに、ギルドンの命令通り、寺の中に滞在していた雑人たちまで皆追い出した。

海印寺は次第に—

ギルドンが望む形に変わっていった。