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十三〜十五

作 泉鏡花 · 2026-03-31

松の木の細くて高い幹を見上げると、上の方には小枝が一本も見当たらなかった。私はその木の下をくぐり抜け、仰ぎ見ると、月の形はここでも変わらず、十三夜の光が浮世を照らしているようだった。

先に歩いていた女性の姿が視界から消えたので、松の幹に手をかけて覗き込むと、彼女はすぐ下にいた。

「急に地面が低くなりますから、気をつけてくださいね。貴僧には足駄では無理かもしれません。よろしければ、草履と交換しましょう。」

彼女は私の立ち遅れを察したようで、何かが転げ落ちる前に早く行こうと急かしている。

「いえ、跣足になるのは構いません。嬢様にご心配をかけるわけにはいきません。」

「嬢様ですって?」彼女は少し声を高め、艶やかに笑った。

「はい、今の爺様がそうおっしゃったのですが、夫人でいらっしゃいますか。」

「何にしても、貴僧には叔母さんくらいの年齢ですよ。さあ、早くいらっしゃい。草履もいいですが、刺が刺さるといけませんし、湿っていて気持ちが悪いでしょうから。」そう言いながら、彼女は衣服の片方をぐいと上げた。真っ白な布が暗闇に溶け込んでいく。

私たちはどんどん道を下りていった。傍らの茂みから、のそのそと出てきたのは蟇だった。

「気味が悪いな。」と言うと、彼女は高く踵を上げて、向こうへ飛んでいった。

「お客様がいらっしゃるのに、人の足に絡まって贅沢ですね。お前たちは虫を吸っていれば十分でしょう。貴僧もどんどんいらっしゃい。何も心配はいりません。このような場所では、あんなものも人懐っこいですから、気にしなくていいですよ。」

蟇はまた草を分けて入っていき、彼女はさらに先へ進んでいった。

「さあ、この上に乗るんです。土が柔らかくて壊れますから、地面は歩けませんよ。」

大木が草に隠れて、その幹が姿を現している。乗ると足駄でも問題はないが、太い丸木を渡り終えると、急に川の音が耳に響いた。それまでにはかなりの時間が経っていた。

上を見上げると、松の木の影はもう見えなかった。十三夜の月はずっと低くなり、今下りた山の頂に半ばかかっていた。手が届きそうなほど明るいが、その高さは計り知れない。

「こちらへ。」と彼女が言った。その声はもう一息、私の目の前に立って待っていた。

そこは一面の岩で、谷川の水が岩にかかって、ここに淀みを作っていた。川幅は一間ほどで、水の音はそれほどでもないが、美しさはまるで玉が流れているようだった。遠くでは、岩に砕ける響きが聞こえた。

向こう岸はまた一座の山の裾で、頂は真っ暗だが、月の光が山腹を照らし出していた。大きな石や小さな石、剣のような形や、鞠のような形の岩が目の届く限り広がっていた。

「今日は水がちょうどいい塩梅ですから、中に入らなくてもこの上で大丈夫です。」と、私は爪先を屈めながら、雪のような素足で石の盤の上に立った。

私たちが立っている側は、こちらの山の裾が水に迫っていて、ちょうど切り穴の形になっていた。川上も下流も見えないが、向こうの岩山は九十九折のような形をしていた。流れは五尺、三尺、一間ばかりずつ上流の方へと遠ざかり、岩をかがったように隠れていた。どれも月光を浴びて、銀の鎧の姿のように輝いていた。

「結構な流れですね。」

「はい、この水は滝からのものです。この山を旅する人は皆、大風のような音をどこかで聞きます。貴僧はここへいらっしゃる道で心配はありませんか?」

その音は、山蛭の大藪へ入ろうとする少し前から聞こえていた。

「それは林に風が当たる音ではありませんか?」

「いえ、誰でもそう言いますが、あの森から三里ほど傍道を入ったところに大滝があります。それは日本一だそうですが、道が険しいので、十人に一人も行ったことがありません。その滝が荒れたのは、ちょうど今から十三年前、恐ろしい洪水がありました。こんな高いところまで川の底になり、麓の村も山も家も流されてしまいました。この上の洞も、最初は二十軒ほどあったのですが、この流れもその時からできたものです。ご覧なさい、この通り、皆石が流れたのです。」

彼女はいつの間にか米を精げ果て、衣紋が乱れ、乳の端もほのかに見えるほど、膨らんだ胸を反らせて立っていた。鼻を高く、口を結び、目を恍惚とさせて上を向いていたが、月はその累々たる岩を照らしているだけだった。

「今でもこうやって見ると、恐ろしいですね。」と、屈んで二の腕を洗っていると。

「貴僧、そんな行儀のいいことをしていたら、衣が濡れますよ。気持ちが悪いですから、すっぱり裸になって洗いなさい。私が流してあげます。」

「いえ、」

「いえじゃありません。それ、お法衣の袖が浸かりますよ。」と言うと、突然背後から帯に手をかけ、身悶えして縮こまる私を、邪慳らしくすっぱり脱がせてしまった。

私は師匠が厳しかったので、経を読む身体では、肌さえ脱いだことはなかった。しかも、女性の前で、まるで蝸牛が城を明け渡すように、口を利くことさえできず、手足を動かすこともできず、背中を丸めて膝を合わせて縮こまっていると、彼女は脱がした法衣を傍らの枝にふわりとかけた。

「お召はこうしておきましょう。さあ、お背中を。お嬢様とおっしゃってくださったお礼に、叔母さんが世話を焼いているのですから、お人の悪いこと。」と、片袖を前歯で引き上げ、玉のような二の腕をあからさまに背中に乗せたが、じっと見て、

「まあ、」

「どうかいたしておりますか。」

「痣のようになって、一面に。」

「ええ、それでございます。酷い目に遭いました。」

思い出すだけで、ぞっとする。

婦人は驚いた表情を浮かべて言った。

「それでは、森の中は大変なことになりますね。旅人が飛騨の山では蛭が降ると言っていたのは、まさにあの場所のことです。あなたは道を知らなかったから、正面にある蛭の巣を通ってしまったのでしょう。命が助かったのは幸運です。馬や牛でも吸い殺されるほどのものですから。でも、きっと痒くてたまらないのでしょうね。」

「今はもう、痛みが増してきました。」

「そんなことでこすったら、柔らかいお肌が擦り剥けてしまいますよ。」そう言いながら、彼女の手は綿のように柔らかかった。

彼女は両肩から背中、横腹、臀部にかけて、さらさらと水をかけながら優しくさすってくれた。その感触は、骨にまで染み入るように冷たくはなかった。暑い時期ではあったが、理屈を言えばそうではないのだろう。私の血が沸き立っているのか、彼女の温もりなのか、手で洗ってくれる水が心地よく体に染み込んでいく。質の良い水は、柔らかいものだと感じた。

その心地よさは言葉にできないほどで、眠気が襲ってきたわけではないのに、うとうととした様子で、傷の痛みが和らぎ、気が遠くなっていく。彼女の身体に寄り添うようにして、私はまるで花びらの中に包まれているような気分だった。

山の者には似つかわしくない、都にも稀な美しさを持つ彼女は、どこか弱々しい風情を漂わせていた。背中を流している間、彼女の呼吸がはっはっと響くのを感じ、もう断ろうと思いながらも、例の恍惚に包まれて、気を失いそうになりながらも洗ってもらった。

その上、山の気なのか、彼女の香りなのか、ほんのりと良い香りが漂ってきた。私は背後で彼女が息を吐いているのだろうと思った。

上人は少し間を置いてから言った。「いや、お前様、近くにいて、その明かりを掻き立ててもらいたい。暗いと怪しい話になるから、ここから一番野面で使おう。」

枕を並べた上人の姿も朧げに、明かりが暗くなっていた。早速、灯心を明るくすると、上人は微笑みながら話を続けた。

「さあ、そうやっていつの間にか現とも知らずに、この不思議で素晴らしい香りのする暖かい花の中に柔らかく包まれて、足、腰、手、肩、首から次第に天窓まで一面に覆われて、驚くことに、石に尻餅をついて、足を水の中に投げ出した瞬間、女の手が背後から肩越しに胸を押さえ、しっかりとつかまった。」

「貴僧、お傍にいて汗臭くはありませんか?とんだ暑がりですから、こうやっていてもこんなものですよ。」そう言って胸にある手を取ったが、慌てて放して棒のように立ち上がった。

「失礼。」

「いいえ、誰も見てはいませんよ。」と彼女は澄ました顔で言った。いつの間にか、彼女は衣服を脱ぎ、全身を練絹のようにさらけ出していた。

何と驚くべきことか。

「こんなに太っているから、もうお恥ずかしいほど暑いのです。今の時期は毎日二度も三度も来て、こうやって汗を流します。この水がなかったらどうしましょう、貴僧、お手拭を。」そう言って絞ったものを差し出した。

「それでおみ足を拭きなさいまし。」

いつの間にか、体はちゃんと拭かれていた。話すのも恐れ多いが、私は思わず笑ってしまった。