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三〜五

作 芥川龍之介 · 2026-07-10

僕がこれから話す前に、まず河童について説明しておかなければなりません。河童が実在するかどうかは、今でも疑問に思われていますが、僕自身が彼らの世界に住んでいた以上、その存在を疑う余地はありません。

さて、河童とはどんな生き物かと言えば、頭には短い毛が生えていて、手足には水掻きがついています。身長はだいたい1メートルを少し超えるくらいで、体重は医者のチャックによれば、20ポンドから30ポンド程度。まれに50ポンドを超える大きな河童もいるそうです。そして、頭の真ん中には楕円形の皿があり、その皿は年齢とともに固くなっていくようです。実際、年を取った河童の皿は、若い河童のものとは全く異なる手触りを持っています。

一番不思議なのは、河童の皮膚の色です。彼らは人間のように一定の色を持たず、周囲の色に合わせて変わります。草の中にいるときは緑色、岩の上にいるときは灰色に変わるのです。これは河童に限らず、カメレオンにも見られる特性です。もしかすると、河童はカメレオンに近い皮膚組織を持っているのかもしれません。この事実を発見したとき、西国の河童は緑色で、東北の河童は赤いという民俗学上の記録を思い出しました。また、バッグを追いかけているときに、突然どこに行ったのか見えなくなったことも思い出しました。

さらに、河童は皮膚の下に厚い脂肪を持っているようで、この地下の国の温度は比較的低いにもかかわらず、彼らは着物を知りません。もちろん、どの河童も目金をかけたり、巻煙草の箱を持ったり、金入れを持ったりしていますが、河童はカンガルーのように腹に袋を持っているので、それらをしまうのに特に不便はありません。ただ、僕には彼らが腰回りを覆わないことが不思議でした。あるとき、その理由をバッグに尋ねてみると、バッグはのけぞって笑い続け、「お前が隠しているのが面白い」と返事をしました。

僕は次第に河童の使う日常の言葉を覚えていきました。そのおかげで、河童の風俗や習慣も理解できるようになりました。特に興味深かったのは、河童が人間の真面目な考えを笑い飛ばし、人間が笑うことを真剣に受け止めるという、まったく逆の感覚を持っていることです。例えば、人間が正義や人道を真剣に考えると、河童はそれを聞いて大笑いするのです。彼らの滑稽さの基準は、我々とは全く異なるのです。

ある時、医者のチャックと産児制限について話していたとき、チャックは大口を開けて笑い出しました。僕は腹が立ち、何が面白いのか詰問しました。チャックの返事はこんな感じでした。「両親の都合ばかり考えているのはおかしいですからね。あまりにも自己中心的ですからね。」

人間から見ると、河童のお産は実際におかしなものです。しばらくしてから、バッグの奥さんが出産する様子を見に行きました。河童もお産をする際には、人間と同じように医者や助産師の助けを借ります。しかし、出産の際、父親は電話をかけるように母親の生殖器に口をつけ、「お前はこの世界に生まれてくるかどうか、よく考えて返事をしろ」と大声で尋ねるのです。バッグも膝をつきながら何度も繰り返し言いました。それから、テーブルの上にあった消毒用の水薬でうがいをしました。すると、細君の腹の中の子は気兼ねしているのか、小声で返事をしました。

「僕は生まれたくありません。第一、僕のお父さんの遺伝は精神病だけでも大変です。その上、僕は河童的存在を悪いと信じていますから。」

バッグはこの返事を聞いたとき、照れくさそうに頭をかいていました。しかし、そこにいた産婆はすぐに細君の生殖器に太いガラスの管を突き込み、何か液体を注射しました。すると、細君はほっとしたように大きく息を吐き、今まで大きかった腹は水素ガスを抜いた風船のようにしぼんでしまいました。

こういう返事をするくらいですから、河童の子どもは生まれるや否や、すぐに歩いたりしゃべったりします。チャックの話によれば、出産後26日目に神の有無について講演をした子どももいたそうですが、その子は2か月目には亡くなってしまったそうです。

お産の話をしたついでに、僕がこの国に来て3か月目に偶然見かけた大きなポスターの話をしましょう。そのポスターには、トランペットを吹いている河童や剣を持っている河童が12、3匹描かれていました。その上には、河童が使う時計のゼンマイに似た螺旋文字が並んでいました。この螺旋文字を翻訳すると、だいたいこんな意味になります。もちろん、細かいところは間違っているかもしれませんが、僕は一緒に歩いていたラップという河童の学生が大声で読み上げてくれた言葉をノートに取っておきました。

「遺伝的義勇隊を募る」

「健全なる男女の河童よ」

「悪遺伝を撲滅するために」

「不健全なる男女の河童と結婚せよ」

その時、僕はそんなことが実際に行われるわけがないとラップに話しました。すると、ラップだけでなく、ポスターの近くにいた河童たちも一斉に笑い出しました。

「行われない? でも、あなたの話では、あなたたちも私たちと同じように行動していると思いますが。あなたは、令息が女中に恋をしたり、令嬢が運転手に恋をしたりするのは、何のためだと思っているのですか?あれは、無意識のうちに悪い遺伝を撲滅しているのですよ。そもそも、先日あなたが話していた義勇隊よりも、――互いに殺し合って鉄道を奪うための義勇隊ですね、――ああいう義勇隊に比べれば、私たちの義勇隊の方がずっと高尚だと思いますが。」

ラップは真剣にこう言いながらも、太った腹を揺らして笑いを誘っていました。しかし、私は笑うどころか、慌ててある河童を捕まえようとしました。それは私の油断を見抜き、その河童が私の万年筆を盗んだことに気づいたからです。しかし、皮膚の滑らかな河童は簡単には捕まえられません。その河童もすばやく滑り抜け、あっという間に逃げてしまいました。まるで蚊のように痩せた体を揺らしながら。

私は、このラップという河童にバッグにも劣らぬ世話になりましたが、その中でも特に忘れられないのは、トックという河童に紹介されたことです。トックは河童仲間の詩人で、彼の髪は長く、私たち人間と変わりありません。私は時々、トックの家に退屈しのぎに遊びに行きました。トックはいつも狭い部屋に高山植物の鉢植えを並べ、詩を書いたり煙草を吸ったりして、気楽に暮らしていました。その部屋の隅には雌の河童が一匹、(トックは自由恋愛主義者なので、妻というものは持っていません。)編み物をしていました。トックは私の顔を見ると、いつも微笑んでこう言うのです。(もっとも、河童の微笑みはあまり良いものではありません。少なくとも、私は最初のうちはむしろ不気味に感じていました。)

「やあ、よく来たね。さあ、その椅子に座りなさい。」

トックはよく河童の生活や芸術について話しました。彼の考えによれば、普通の河童の生活ほど馬鹿げたものはないそうです。親子や夫婦、兄弟などは、互いに苦しめ合うことを唯一の楽しみにして生きているのです。特に家族制度というものは、馬鹿げている以上に馬鹿げているのです。ある時、トックは窓の外を指さし、「見てごらん、あの馬鹿げた光景を!」と吐き捨てるように言いました。窓の外には、まだ若い河童が一匹、両親らしい河童をはじめ、七八匹の雌雄の河童を首にぶら下げながら、息も絶え絶えに歩いていました。しかし、私はその若い河童の犠牲的精神に感心し、かえってその健気さを褒め称えました。

「ふん、君はこの国でも市民になる資格がある。……ところで、君は社会主義者か?」

私はもちろん「はい」と答えました。

「では、百人の凡人のために甘んじて一人の天才を犠牲にすることも気にしないはずだ。」

「では君は何主義者だ? 誰かがトック君の信条は無政府主義だと言っていたが……」

「僕か? 僕は超人(直訳すれば超河童だ)。」

トックは堂々と言い放ちました。こういうトックは、芸術についても独特な考えを持っています。彼の信じるところによれば、芸術は何ものの支配も受けず、芸術のための芸術であるべきで、したがって芸術家は何よりも先に善悪を超えた存在でなければならないのです。もっとも、これはトック一人の意見ではありません。トックの仲間の詩人たちも、たいてい同じ意見を持っているようです。実際、私はトックと一緒に超人倶楽部に何度も遊びに行きました。超人倶楽部には、詩人、小説家、戯曲家、批評家、画家、音楽家、彫刻家、そして芸術に関心のある素人たちが集まりますが、彼らは皆超人です。彼らは明るい電灯の下でいつも快活に話し合い、時には自らの超人ぶりを誇示し合っていました。例えば、ある彫刻家は大きな鬼羊歯の鉢植えの間で若い河童を捕まえ、男色をもてあそんでいました。また、ある雌の小説家はテーブルの上に立ち上がり、アブサントを六十本飲んで見せました。もっとも、六十本目にテーブルの下へ転げ落ちるや否や、すぐに往生してしまいましたが。

ある月の美しい晩、私は詩人のトックと肘を組んだまま、超人倶楽部から帰ってきました。トックはいつになく沈んでいて、一言も口をききませんでした。そのうち、私たちは火影の差した小さな窓の前を通りかかりました。その窓の向こうには、夫婦らしい雌雄の河童が二匹、三匹の子どもたちと一緒に晩餐のテーブルに向かっていました。すると、トックはため息をつきながら、突然私に話しかけました。

「僕は超人的な恋愛家だと思っているが、ああいう家庭の様子を見ると、やはりうらやましさを感じるんだ。」

「でも、それはどう考えても矛盾していると思わないか?」

しかし、トックは月明かりの下でじっと腕を組んだまま、あの小さな窓の向こう、平和な五匹の河童たちの晩餐のテーブルを見つめていました。そしてしばらくしてから、こう答えました。

「そこにある玉子焼きは、何と言っても恋愛よりも衛生的だからね。」