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七〜九 (2)

von 泉鏡花 · 2026-03-31

人間が滅びる理由は、地球の薄皮が破れて空から火が降ることでも、大海が押し寄せることでもない。飛騨の森が蛭に覆われることが始まりで、最終的には皆が血と泥の中で黒い虫のように泳ぐことになる。それが世代交代の世界だと、ぼんやりと考えた。

この森も、入口では何の変哲もなかったが、中に入ると様子が一変した。もっと奥へ進むと、すでに立ち木の根元から朽ち果てて山蛭になっているのだろう。助かる見込みはない、ここで命を落とす運命なのだと、無駄な考えが浮かんだのも、私が死期に近づいているからだと気づいた。

どうせ死ぬのなら、一歩でも前に進んで、世間の人々が夢にも知らない血と泥の大沼の片隅でも見ておこうと覚悟を決めた。気味の悪さなど感じる余裕はなかった。体中が痒くなり、珠のように汗をかきながら、手当たり次第に掻きむしり、抜き取るようにして、まるで踊り狂うように歩き出した。

最初は、体が一回り太ったように感じ、痒さが耐えられなかったが、次第にげっそりと痩せていくのを感じ、痛みが増していった。その上、容赦なく襲いかかってくる蛭たちに、既に目も眩みそうになり、倒れそうになった。まるで隧道を抜けたかのように、遥か彼方にかすれた月を拝んだのは、蛭の森の出口だった。

いや、青空の下に出たときには、何もかも忘れてしまい、「砕けろ、微塵になれ」とばかりに体を山道に打ち倒した。それからは、砂利でも針でも何でもいいから地面にこすりつけ、十数匹の蛭の死骸を引きずりながら、五六間先へ飛び跳ねて立ち尽くした。

人を馬鹿にしているのか。周囲の山々では、茅蜩が鳴き、血と泥の大沼になろうとしている森を控えている。日は斜めに傾き、渓底はもう暗くなっていた。

これならば、狼の餌食になっても一瞬で死ねるだろうと、道はだらだらと下っていた。小僧さんは、調子外れに竹の杖を肩にかつぎ、すたこら逃げていった。

蛭に悩まされて痛いのか、痒いのか、あるいはくすぐったいのか、言葉にできない苦しみさえなければ、嬉しさに独りで飛騨山越えの間道を歩きながら、お経に節をつけて外道踊りをやっていたかもしれない。ちょっと清心丹でも噛み砕いて傷口に塗ったらどうだろうと、だいぶ世の中のことに気がついてきた。掻いても確かに生き返ったのだが、それにしても富山の薬売りはどうしたのだろう。あの様子では、とうに血になって泥沼に沈んでいるに違いない。皮だけの死骸が森の中の暗いところに転がっていて、意地汚い下司な動物たちが骨までしゃぶろうと何百匹も押し寄せている日には、酢をぶちまけても気遣いは無駄だろう。

そんなことを考えているうちに、だらだらとした坂はかなり長かった。

それを下り切ると、川の流れが聞こえ、長さ一間ほどの土橋がかかっていた。

その谷川の音を聞くと、持ち余す蛭の吸殻を逆さまに投げ入れ、水に浸したらさぞ気持ちが良いだろうと思ったが、何の渡りかけて壊れたらそれなりだと考えた。

危ないとも思わずに、ずっと橋を渡った。少しぐらぐらしたが、難なく越えた。向こうにはまた坂が待っていた。今度は上り坂だ。ご苦労千万。