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三十六〜三十七

von 夏目漱石

Kは、奥さんとお嬢さんの話をなかなかやめようとしませんでした。しまいには、私も答えられないようなプライベートなことまで聞いてくるのです。私は面倒よりも、不思議な気持ちに打たれていました。以前、私が二人について話しかけたときの彼を思い出すと、彼の調子が明らかに変わっていることに気づかずにはいられませんでした。私はとうとう、なぜ今日に限ってそんなことばかり言うのかと彼に尋ねました。その瞬間、彼は突然黙り込みました。しかし、私は彼の口元が微かに震えているのを見逃しませんでした。彼は元々無口な男で、何かを言おうとする前に、口のあたりをもぐもぐさせる癖がありました。彼の唇が意志に反して開かない様子には、彼の言葉の重みが込められていたのかもしれません。一度声が出ると、その声には普通の人よりも倍の力がありました。

彼の口元を見つめていると、何かが出てくるのではないかと感じましたが、それが何の準備なのか、私には全く予測できませんでした。だからこそ、驚いたのです。彼の重々しい口から、彼のお嬢さんに対する切ない恋の告白が出てきたときの私を想像してみてください。まるで魔法にかけられたかのように、私はその場に固まってしまいました。口をもぐもぐさせることすらできなくなってしまったのです。

その時の私は、恐怖と苦しみが入り混じった一つの塊のようでした。頭から足の先まで、石や鉄のように急に固くなり、呼吸をする弾力性さえ失われてしまったのです。幸い、その状態は長くは続きませんでした。ほんの一瞬後には、再び人間らしい気分を取り戻しましたが、同時に、先を越されたという思いが湧き上がりました。

しかし、その先をどうするかという分別は全く起こりませんでした。おそらく、余裕がなかったのでしょう。私は腋の下から出る気味の悪い汗が襯衣に滲み透るのをじっと我慢して動かずにいました。その間、Kはいつも通り重い口を開き、ぽつりぽつりと自分の心を打ち明けていきます。私は苦しくてたまりませんでした。おそらく、その苦しさは大きな広告のように、私の顔に明確に貼り付けられていたことでしょう。いくらKでも、そのことに気づかないはずはありませんが、彼は自分のことに集中しているため、私の表情に注意を払う暇がなかったのでしょう。彼の自白は、最初から最後まで同じ調子で貫かれていました。重くて鈍い代わりに、非常に動かしがたいという印象を私に与えました。私の心は半分その自白を聞きながら、半分はどうしようという思いに掻き乱されていたため、細かい点はほとんど耳に入らなかったのですが、それでも彼の言葉の調子だけは強く胸に響きました。そのため、私は苦痛だけでなく、時には恐怖を感じるようになったのです。つまり、相手は自分よりも強いのだという恐怖が芽生え始めたのです。

Kの話が一通り終わったとき、私は何も言えませんでした。自分も彼の前で同じような告白をしたのか、それとも打ち明けずにいる方が得策だったのか、そんなことを考えて黙っていました。ただ、何も言えなかったのです。また、言う気にもなれませんでした。

昼食の時間、Kと私は向かい合って座りました。下女に給仕してもらい、私はいつもとは違う不味い食事を済ませました。二人は食事中もほとんど口を利きませんでした。奥さんとお嬢さんがいつ帰るのかも分かりませんでした。

二人は各自の部屋に引きこもり、顔を合わせることはありませんでした。Kの静けさは朝と同じでした。私もじっと考え込んでいました。

私は当然、自分の心をKに打ち明けるべきだと思いました。しかし、その時機はすでに遅れてしまった気がしました。なぜ先ほどKの言葉を遮って、逆襲しなかったのか、それが非常に大きな手落ちのように思えてきました。せめてKの後に続いて、自分の思いをその場で話してしまったら、まだ良かったのにとも考えました。Kの自白が一段落した今、こちらから同じことを切り出すのは、どう考えても変でした。私はこの不自然さに打ち勝つ方法を知らなかったのです。私の頭は悔恨に揺られて、ぐらぐらしました。

私はKが再び仕切りの襖を開けて、向こうから突進してきてくれればいいと思いました。私に言わせれば、先ほどはまるで不意打ちを受けたかのようでした。私はKに応じる準備も何もなかったのです。午前中に失ったものを、今度は取り戻そうという気持ちを持っていました。それで、時々目を上げて襖を眺めました。しかし、その襖はいつまで経っても開きませんでした。Kは永遠に静かでした。

そのうち、私の頭は段々とこの静けさに掻き乱されるようになってきました。Kは今、襖の向こうで何を考えているのだろうと思うと、それが気になって堪りませんでした。普段はこんな風にお互いが仕切り一枚を間に置いて黙り合っていることはよくありましたが、その時の私は、Kが静かであればあるほど、彼の存在を忘れるのが普通だったのです。それなのに、私は自分から襖を開けることができませんでした。一度いいそびれた私は、向こうから働きかけられる時機を待つしかありませんでした。

私はとうとうじっとしていられなくなりました。無理に静かにしていると、Kの部屋に飛び込みたくなるのです。仕方なく立ち上がり、縁側へ出ました。そこから茶の間に行き、特に目的もなく鉄瓶のお湯を湯呑みに注ぎ、一杯飲みました。それから玄関へ向かいました。わざとKの部屋を避けるようにしながら、私は自分を往来の真ん中に置いているのを感じました。どこへ行くという明確な目的はありません。ただじっとしていられないだけでした。そのため、方角も気にせず、正月の町をむやみに歩き回ったのです。私の頭の中は、どれだけ歩いてもKのことでいっぱいでした。Kを振り落とそうとして歩き回っているわけではなく、むしろ自分から進んで彼の姿を思い描きながらうろついていたのです。

彼は私にとって、理解しがたい男のように思えました。どうしてあんなことを突然私に打ち明けたのか、またどうして打ち明けずにはいられないほど彼の恋が募ってきたのか、平常の彼はどこに消えてしまったのか、すべてが私には解せない問題でした。彼の強さを知っていましたし、真面目さも理解していました。これから私がどういう態度を取るべきかを決める前に、彼についてもっと知る必要があると信じました。同時に、これから先彼と向き合うことが妙に気味が悪く感じました。私は夢中で町を歩きながら、彼が私の部屋にじっと座っている姿を思い描いていました。どれだけ歩いても、彼を動かすことは到底できないという声がどこかで聞こえてきました。つまり、彼は一種の魔物のように思えたのです。私は永遠に彼に祟られているのではないかという気さえしました。

疲れて家に帰ると、Kの部屋は依然として静まり返っていました。人気がないように感じました。